アンモニアの合成効率が大幅にアップ
アンモニア供給は現代生活に不可欠
アンモニアは作物を育てる際の肥料の原料や、様々な化学薬品の原料となるため、私たちの生活に欠かせない物質です。これまで、アンモニアは、工業的にはハーバーボッシュ法とよばれる合成方法でつくられています。この合成方法では、窒素と水素を高温、高圧条件で反応させる必要がありますが、私たちの生活を十分に賄うだけのアンモニアをつくろうとすると、なんと世界中の消費エネルギーの約1%を毎年アンモニア合成に利用していたそうです!!
水と窒素からアンモニアが簡単につくれる
そんな中、よりエネルギー効率の高いアンモニア合成法がNature誌に報告されました。東京大学の西林教授たちのグループによる報告です*1
この新合成法では、常温、常圧で水と窒素をある触媒とともに混ぜるだけでアンモニアが簡単につくれるようです。
ハーバーボッシュ法
H2 + N2 (+鉄触媒)→ NH3 高温(400-600度)高圧(200-1000atm)
新合成法
H2O + N2 (+モリブデン触媒)→NH3 常温、常圧
新しい触媒(モリブデン)を発見したところがブレイクスルーですね。水H2Oや窒素分子N2といったそこら中にありふれた原料から合成できる点も魅力的です。世界のエネルギー消費を抑えることも可能になるかもしれません。
一方、今回の報告はあくまで実験室スケールでの成功例ですので、今後工場スケールまで対応できるかが注目されるところです。こういった報告によって、アンモニア合成研究の分野も一層盛り上がると思います。