ライフサイエンス四方山話

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コーヒーの過剰摂取は循環器疾患につながる

朝のお供は毎日コーヒー 
 一杯のコーヒーから毎朝を始める方も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。コーヒーの味や匂いで心身はリフレッシュされ、脳の活性化、集中力アップ、がんの予防など、健康面や作業効率アップの効果が期待されています。コーヒーに含まれるカフェインが、これら効能に一役かっていることはご存知のことと想います。
 
 
カフェインの過剰摂取と病気に相関はある?
 一方、カフェインは良い面もある反面、血圧を上昇させる作用が知られています。高血圧症を招き、心臓への負荷を大きくするのではないかとも考えられていました。そこでカフェインの過剰摂取と循環器系疾患の発症に相関関係はあるかどうかを検証した研究結果が報告されました。
 オーストラリアの研究施設からの報告です。約350000人の調査を行い、毎日のコーヒー摂取量と循環器系疾患の発症の有無を調べました。

academic.oup.com

その結果、1日に7杯以上コーヒーを飲む人たちがもっとも循環器疾患にかかりやすいことが判明しました。では、本当にカフェインの過剰摂取→循環器疾患発症とつながるかというと、そう単純でもありませんでした。
 カフェインは体内でCYP1A2という代謝酵素によって代謝されるのですが、人によってこの代謝酵素が正常に働かない変異型のCYP1A2を有する人もいます。この場合は、体内でカフェイン代謝という仕事ができないので、体内にカフェインが貯まりやすくなります。今回の研究結果では、この変異体の有無に関わらず、1日当たりのコーヒー摂取量が7杯以上の場合は循環器疾患にかかりやすくなる、という結論ですので、カフェインの影響とは断定できない結果となっています。
 
飲食はほどほどに
 ちなみに、日本人の1日当たりのコーヒー消費量は1−2杯です。なかなか6、7杯も1日に飲む人は少ないかもしれません。そんなに飲む前に頭痛や気分が悪くなりそうですが、コーヒーに限らず、健康に良いと言われるものでも過剰摂取は禁物ということですね。